運動前に強度を意図的に操作したボルグスケールを用いた運動強度フィードバックの作用~オープン・ループサイクリング運動において【海外最新研究紹介】 [Tests & Measurements]
要約
【目的】 一定のパワー出力によるオープン・ループ運動でにおいて、ボルグスケール上の自覚的運動強度、心拍数(HR)、およびパーフォーマンス応答による運動強度偽装の効果を確認すること。
【方法】 8人の健常男子を対象に、まずピークパワー出力(PPO)と心拍屈折点(HRDP)を特定するため、サイクル・エルゴメータで最大漸増負荷試験を行った。
引き続いて、偽装下(DEC)と内容を知らされた(INF)状況下それぞれで被験者らにHRDP強度に設定された運動を疲労困憊まで一定パワー出力で行った:
DEC― 被験者らは、彼らがHRDPで定量化されたRPEの下で2つのカテゴリーに対応している強度において自転車をこいでいるはずであるとされた;
INF― 被験者らは、彼らがHRDPで定量化されたRPEに対応している正確な強度で自転車をこいでいると知らされていた。
【結果】 それぞれ、最大漸増負荷試験で得られたHRDPでの平均PPOは247.5±32.1W、パワー出力は208.1±27.1Wであった。
疲労困憊までの時間の有意差は、DEC(525±244s)とINF(499±224s)のそれぞれのトライアルの間で見られなかった。
RPEとHRのそれぞれのパラメータにおける傾斜、1、2回目のそれぞれの測定において、トライアル間で有意差が見られなかった。
【結論】 運動強度がRPEスコアを用いて偽装的に操作されたとしても、運動パーフォーマンスと同様に精神心理学的変異性、すなわちRPEやHRは影響を受けなかった。
これは、運動中における変更されないRPEがこのオープン・ループ運動のパーフォーマンスの調整指標として機能する可能性が示唆されるものである。
Flávio Oliveira Pires, John Hammond "Manipulation effects of prior exercise intensity feedback by the Borg scale during open-loop cycling"
Br J Sports Med doi:10.1136/bjsm.2010.079053
PMID: 21266335
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